朔谷くんがやってきた。

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「いや、服の上からだとなんとも言えませんよ? 今時、胸の小さい人とか普通じゃないですか」  こいつのすぐに人を否定してくるところも癇に障る。  今日は朝から校長にこき使われていて頭の中がイライラでいっぱいだったんだ。  さらにコイツで不満が増えてはたまったもんじゃない。 「だったら触ってみろよ! ほら! 疑い深い奴だな!」  多少自棄になっていたが、もう、これ以上考えることすら面倒くさい。  ブレザーの上からだとまた、感触が分からないとか言い出されそうだと思った柚流は、豪快にブレザーとさらにカーディガンまでを脱ぎ捨て、朔谷を睨みつけた。  さすがにワイシャツだけは肌寒い……  フルっと柚流が身震いしたのを、一瞬朔谷が笑ったような気がした。  それを気にする間もなく、朔谷の手が肌に近づく。 「ひぁっ」  指先の冷たい感触に、思わず声が漏れた。両手で揉み扱くような触り方に背骨が浮き上がるようなくすぐったさが触れている部分から湧き上がる。  特に普段は何の気にもしない胸の粒に触れられるたび、ビクビクと体を震わせてしまう。  絶え間なくピンポイントでそこをかすめる動きにだんだん集中的にとしか思えなくなっていく。  しかし、そう言おうにも口を開いたとたん思わず声を上げてしまいそうになり、グッと喉の奥に押し留めた。  もう十分なはずなのに…  一向に止まらないての動きに戸惑いを感じ、柚流は勢いよく朔谷の肩を押し飛ばした。 「お前…いつまで触ってんだよ…」 「すみません。なんせ女性恐怖症なんで疑い深くなっちゃったんです。あ~やっぱりワイシャツの上からでも分かりずらいですよ。やっぱり直接触らなきゃ…」 「何言って…ひっ冷たっ」
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