朔谷くんがやってきた。

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 いつの間にかボタンを外されたワイシャツの間に、ヒヤリとした手の感触が這う。  その直接の温度差にさらに柚流の背骨が浮き上がるような感覚が湧き上がった。 「あれ? やっぱり女の人なんじゃないですか? だんだん尖って固くなってくる」  明らかに最初とは声色の違う朔谷。  言葉一つ一つを楽しんで表情に笑顔が混じっている。 「ふざけんなっ……ひぁっ!!」  今すぐにやめさせようと、朔谷の手首を掴んだ瞬間、両方の粒をキュッと強く揉み込まれる。  痛いくらいに尖ったそこを、指で転がされ、引っ張られた。軽く爪が当たり、全身が甘く痺れていく。 「……うっ……」 「ほら、もうこんなに紅く熟して……」 「…ふぅっ…」  言いながらクリクリと揉み込まれ、柚流の身体がフルフルと震える。  付け加えるようにポツリと「おいしそう…」と笑いを含んだ言葉が呟かれ、痺れていた俺の頭の中がゾッと冷える。 「ねえ、先輩……舐めても…いいですか?」  その言葉に、柚流の頭は一瞬真っ白になった。  視界の中で時が止まったようにゆっくりと近づいてくる朔谷。  その光景をまざまざと感じていながら、柚流に素朴な疑問が浮き上がってきた。  なぜ…どう見ても男のそれもイケメンが、俺の胸に口を寄せようとしてるんだ……  というか、もしコイツにまだ俺が女だと疑う気があったなら、そもそもコイツは俺に触ろうとするはず無いんじゃないか……  あれだけ自分で重度だとかなんとか言っていたんだ……  俺は馬鹿なのか……  でもそうなると、この状況はいったいなんなんだ……  何か重要なことを一つ忘れていた気がしたが、朔谷の口元から覗いた鮮やかな赤色にすべてが吹き飛んだ。
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