朔谷くんがやってきた。

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『…………』  なるほど。  かみ合うわけがない。  相手と根本的に考え方が違うんだから。  というかせめて常識くらいは持ち合わせておいて欲しい……なんでコイツは会った男皆ホモ扱いしてるんだ……  いやまぁ、俺もこいつと常人だと思ってたけど…  いいじゃん別に……無害だし。   とりあえず朔谷、早く返事をしてくれ。 「おい…答えないと殴るぞ?」  固まったまま返事をしない朔谷に向かって、固く握った拳を振り上げた。 「…………。い゙っ!? ~ツツ!!」 「もう一発行くか?」  相当強く殴ってしまったのか、もう一度を振り上げた腕に、眼に涙をためた朔谷がブンブンと頭を振る。  そして悶絶が収まったあとやっと「…はい」と言葉をつぶやいた。 「い゙っ!?」  思わずもう一発殴ってしまった。 「先輩!? マジ痛いんですけど……」  頭を押さえ、薄っすらと涙を浮かべた目がじっとこちらを見つめる。 「あぁ…ごめんね…ちょっと混乱してんだよ…」  あとムカついたから……  イケメンのくせに……  喉まで出かけた言葉を飲み込んだ。  マジか…  つーか、この場合、俺はどうすればいいんだ……  あれか?   偏見なんて無いぞ! どんと来い! 会長の俺が受け止めてやる!  ……的な?  いやいやいやいや  それはダメだろ。さっき襲われかけたクセして。  いや、でも…ここは生徒会長としてこれから生徒になる奴を支えなくてどうする……  偏見と驚きでいっぱいの柚流の想いと、生徒会長という名の使命感とがグルグル頭の中を回る。  それに、今までずっと苦労して今の地位を得たんだ……  あの校長の言うことをなんでもしてきたじゃないか。  そうだよ。  それに比べれば一回襲われたくらどうってことない!   どこか違和感を覚えながら、柚流は俯きかけていた顔を上げ、朔谷の方に向き直った。
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