朔谷くんがやってきた。

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「まぁ、付き合うのは許さないと思うけど、一か月で直すことができたら誠はまた学園に戻ってその子に会えるんだよ?」  そんなの…殆どできないものを言われているのに等しい。  恐怖症なんて、そんな簡単に治るものじゃない。それくらいそのことに全く無知な柚流でも理解できる。  この父親は、子どもに対してもこんな扱いなのか……  苦い顔をしている柚流に気が付き、校長は柚流に対しても毒を吐く。 「柚流君も。同情するなら、力を貸してあげてね。あっ、そうだ誠! 柚流君なら付き合うの、許してあげてもいいよ? 柚流君はすごく有能だからね。卒業した後とかもずっと俺の近くに置いておきたいんだよね~。他のヤツは駄目かな……特に梓君は」 「ふざけないでよ。俺が先輩の性格全然タイプじゃないって言ったからって!」  むかつく……  ただ、さすがに殴ろうという気は起きなかった。 「えーと。校長先生。なんとなく事情を理解できたんですけど、俺は具体的に何を手伝えばいいんですか?」  抵抗したってこの校長にはかなわない。  それがこの学校に入学してから学んだ一番大きなことだった。 「柚流君のそういう諦めがいいところ、好きだよ」    ニコッと微笑みを向けらるが、柚流はそれを逸らした。 「……えっと、ねぇ。簡単に言うと、君が女装して女の子の代わりになってくれればいいんだよ。食事中・授業中・外出中。日常生活。ありとあらゆることを女装して女の子のフリをして誠と過ごしてほしい。これは誠に対しての最低限の譲歩。さすがに最初から女性を宛てるのはかわいそうだからね。でも、最終的には女性とキスとかできるくらいまでにしはてもらうから」  いや、簡単じゃねぇよ。  むしろキスとかハードル高すぎじゃない?  朔谷も想像しただけで、顔を青ざめている。それを見て、本当に面倒なことになったと思わざる負えない。  いや、それよりも…… 「授業中ってどういうことですか?」  俺は二年。  朔谷くんは一年。  根本的にできない。 「君には一か月女装して誠と同じクラスに明日から転校することになってるんだ。ちなみに、君は外国からの留学生ってことでマルクス・柚香って名前でね。一応ハーフってことだから青いカラコン入れておいて」  マルクスってあれか?  田●・マルクス・トゥーリオか?   名前のセンスおかしくね?
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