はじめまして

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 はじめまして。  一応俺は主人公の宮下 柚流です。  生徒会長やってます。  この度は、忙しい入学式も終わり、やっと穏やかに新学期を迎えようとしていたと云うのですが……  忙しさの元凶と云える校長が、又もや俺に面倒なモノを押し付けてきたみたいだ……  キュッ、と思わず手に力が入る。カツラの長い髪が手に間とわりついた。  黒く艶のある美しいカツラは、どんなにまとわりついても絡まることなく手の間をすり抜けていく。  そんなどうみたって上質な、それも、頭から腰まで届くくらいの黒いカツラを俺は被らなきゃいけないらしい。  明らかな女物を、ナニが悲しくて被るんだ… 「俺はまだフサフサだぞ?」  悪態吐かずにはいられない。  こんなの普通は無視する柚流も、校長の頼み(命令)ではどうしょうもない。  仕方なく、柚流は自分の頭にカツラを被せた。  元々黒髪だからネット固定せずに被っても全く違和感がない。 「それにしても、重い…」  とりあえず、この状態を誰にもみられなければ良いんだ。  今、この部屋にいる以外のヤツに…  目の前には生徒会長室と書かれた寮部屋。  ここは、生徒会長である柚流の部屋だ。  もちろん一人部屋……  だった。  今日から、もう一人増えるらしい…  普通は無いよ?  生徒会長室に生徒会以外の人が入るなんて事は。  しかし、それを唯一覆すことができるのが校長先生様様なんです。  そもそも2つも部屋は無いのに…  全く…、本当どこまでふざけているのだろうか…  納得なんて、最初からできると思わなかったが、それでもコレは屈辱的だ。  まぁ、ぐずぐず考えている内にこの状態を誰かに見られるのはもっと嫌なんだよなぁ…  そう思い、柚流は決心してドアに手をかけた。  ゆっくりと開かれた見慣れた玄関には見慣れない靴。  この学校の指定靴でもないらしい。  どこかで見たことがあると思うんだけど…  出そうで出ない。 「絶対……見たときあるんだよな~」
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