はじめまして

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 この五角形の中に刻まれたゴツイ『聖』の校章。  周りにゴチャゴチャした飾りも見えず、風格漂うそのロゴは、確かに目にしたことがある。  とりあえず、あんまり……こう、いいイメージじゃない気がするんだよなぁ……  そうこう考えてながら、柚流はあらあらしく靴を脱ぎ、玄関を抜けて一番奥のリビング部屋に進む。  普段は自分以外誰もいないリビングから、テレビの音が聞こえてくる。  まぁ、さすがに玄関に靴がある時点で、校長からのドッキリなワケないとは思ったけど……  心なしガッカリしている自分に、浅はかだと思い知らされた。 「しかも、なぜか俺は人生初の女装しているわけだ…」  いくらそんなに背が高くなくて、体があんまりガッシリしていないといったって、女装なんて理解できない。  つーか、俺。そんなに低いわけでも無いし。普通だし。  170あるからね?   179センチあるからね?  ……………。  すみません盛りました。  172センチです。7センチ盛りました。でも170はあるんです……  自分で言ってて悲しい。  そんなことを思いつつガチャリとドアを開けると、一人の男がテレビの前にあるソファーに座っていた。  それもモデルのようなイケメンに、柚流は息を呑む。  柚流から位置的に見えるのは横顔だけだったが……充分だった。  少し長めの黒い前髪が、スッと通る鼻先にかかっている。  その間から覗く切れ長で垂れた目は、不思議なオーラを発しているのようで、吸い込まれそうだ……  耳には数個のリングピアスを付けていたが、チャラチャラした雰囲気などみじんも感じられなかった。  それよりも、妙な色気を纏っていて余計に見とれてしまう。
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