†2 君の時間。

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「怒ってたねー、お父さんとお母さん。」 部屋で、荷物の整理をしている結衣ちゃんの背中に声をかけた。 あたしは特に何かを手伝う訳でもなく、近くにあった赤ちゃんの肌着を広げてみた。 とても小さくて、柔らかくて。 「仕方ないよ。 1年ぶりに帰ってきた娘がコレだもん。 家に入れてくれただけでありがたいよ。」 自分のお腹を撫でながら、結衣ちゃんは苦笑する。 「男の子?女の子?」 「聞いてない。 元気ならどっちでもいいから。」 「ふーん。でも名前どうするの? 性別知ってたほうが考えやすいでしょ?」 「まー…、ぼちぼち考える。」 再び荷物の整理を始めた結衣ちゃんの背中をじーっと眺めた。 「…結衣ちゃん。」 「んー?」 「…相手の人、森田さんじゃないの?」 「…じゃないのー。」 背を向けたまま答えた結衣ちゃん。 …なんか変な感じ。 森田さんは?
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