†1 僕の時間。

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逃げたくせに 今、クローゼットの奥から古いアルバムを引っ張り出してきている自分。 関係ない そう思うのなら、こんな事をする必要なんてないのに。 部屋でひとり、アルバムを開きながら実の母親の手掛かりを探している。 いちばん古いアルバムを開いてみる。 「…産まれたて…」 今まさに、産まれた瞬間ぽい赤ちゃん。 俺のアルバムだし、男の子のモノもしっかりついているから多分これは俺。 そして病院で、新生児の俺を抱いているのは 間違いなく母さんで。 今の。 退院時に父さんと母さんと俺の3人で病院で撮った写真まである。 アルバムには普通に俺たち3人の写真が続いている。 どこからどう見ても、普通の家族だ。 実の母親がどこかにいるなんて、信じがたい話だ。 18年間、本当の母親だと思い込んでいた。 …というか、信じて疑った事すら無かったし。 疑う余地もない。 俺が産まれた時から一緒にいるんだから。
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