歪み

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俺の最も古い記憶の始まりは爆音からだ。 耳をつんざくような鋭く痛々しい音。 俺はそれが堪らなく嫌で耳を塞いだ。 ああ、何でこんな音が周りに満ちているのか。 こんな醜い音、誰が喜ぶのだろうか。 俺の口は知らず内にある歌を口ずさんでいた。 記憶の中には無いが、どこかで知った暖かなメロディ。 ああ、世界中がこの歌で溢れていたらどれだけ幸せだろうか。 この暖かさがどれだけの人を救うのだろうか。 記憶の中の俺は決意した。 この世の全ての雑音を消し去ろうと。 そして、暖かな歌で世界を満たそうと──…
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