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◇
また昔の夢を見た。
起きて真っ先に思ったことはそれだった。
昔のことが夢で出てきた日は大抵ろくなことが起きないことを俺は知っている。だから目覚めは最悪だ。
机の上に置いてある時計を見ると時刻は午前10時を指していた。すなわち寝坊である。
次いでケータイを見てみると不在着信が15件と表示されている。
発信者の名前は見るまでも無い。どうせいつもと同じだ。
どう足掻いても遅刻以外有り得ない状況であると分かった以上慌てる必要が無いので、ゆっくりと支度をすることにした。
いつも通りコンポにCDを入れて着替えを始める。ゴミ捨て場から拾ってきた割には長持ちしているので、このコンポにはそこそこ愛着が湧いていた。
かき鳴らすようなギターのリフを聴きながら今日の気分とはあまり合わないなと落胆する。やはりCDばっかりはゴミ捨て場から拾ってきたらハズレが多い。
だがこんなご時世、最早ディスクによる音楽は廃れてきていた。勿論俺も携帯型の音楽プレイヤーにはネットから落とした曲を入れているが、ディスクはディスクの良さが有る。
だから家に居るときには出来るだけCDなどで音楽を聴くことにしているのだ。
しかしただでさえ廃れたCDがここにばんばんと流れてくるわけも無く、ゴミ捨て場に捨てられていたらそれは凄くラッキーなのである。
だから昨日の夜にゴミ捨て場でCDを見つけた時は早く朝になるのを望んだのだが、結局ハズレであった。
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