5161人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうか…
属性の変換については、こんなところだろうな。」
属性に感するあらゆる書物を読み尽くしてしまい、成果が出ないと踏んだのか切り上げを思わせる言葉をクラダは見逃さなかった。
「…落ち着け…僕なら…出来る!」
自分にしか聞こえない小さな声でクラダがつぶやく。
そして、同時にローブの内ポケットに押し込んでいた二枚のチケットを握り締める。
それは事前に、クラダが購入していたレストランの食事券だった。
何度も何度も渡そうとする度に邪魔が入り、二人きりになったと思えば言い出すことが出来ない。
そんな訳で半年近く機会を伺いつつ、今日まで来てしまっていたのだ。
「ミ、ミミ、ミセリアさん!」
ランタンの灯りに照らされるミーシェの横顔は、どこか知的でインテリジェンスな印象を与える。
「どうしたんだ、クラダ?」
突然、張り上げられた声に違和感を感じつつクラダと視線を合わす。
たったそれだけのことだがクラダの中で食事へ誘うということへ対するハードルと心音が同時に一気に数段上がった。
最初のコメントを投稿しよう!