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一番簡単な初級魔法故に人間を一人消すには火力不足だ。
しかし、古い木材に囲まれた環境では話は違ってくる。
小屋自体が古木の棺桶となって、全ての証拠ごと焼き尽くす。
「くだらねぇ任務だぜ…」
完全に火が回ったのを確認すると、壁を斬り裂いて小屋から距離を取る。
「リュオ=ナイツフォルド…
俺様は全てを失った代わりに力を手に入れた。」
目線こそは燃え盛る小屋に向いているが心は既にこの場にあらず…
そんな遠い目で怨敵の名前を呟くと自身の腕輪に視線を落とす。
そして、慣れた手つきで金色の太刀を押し当てると刃先の方から腕輪に吸い込まれていった。
「精々、ドカスからカスくらいにはなっていやがれよ。
肩透かしを食らうような雑魚のままなら貴様を殺した後に、地獄で貴様を追い詰めて再び殺してやる…」
黄金の腕輪を握り潰す勢いで力を込めて握りしめて更なる憎しみを錬成する。
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