~epilogue~

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大陸北部に位置するフレイディア地方。 寒冷地であるフレイディア地方は、一年中に掛けて雪を観測することが出来る。 大昔を生きた人々は炎と鍛冶技術を駆使し、寒さに負けることなく雪山を切り開いて文明を築き上げて来た。 紅蓮騎士団の前身である緋天騎士団が創立した地で、リュオを引き取ったナイツフォルド家とは何かと因縁が深い。 その地域に古ぼけた屋敷が一件、ポツリと立っている。長い間、使われていなかったようだが人の気配があった。 大半の部屋は埃をかぶったままの状態であるが、寝室だけは暖炉には火が灯されて室内は清潔に保たれていた。 壁際に配置された椅子に赤髪の女性が腰をかけており、ウツラウツラとしながらも必死に睡魔と戦っている。 フレイディア地方でよく見られる髪色であるが、前髪が不自然に長く目元が隠れてしまって人相は不明。 他に特徴的なところといえば隻腕であるということ。右二の腕の辺りから綺麗に亡くなり縫合されている。 女性はただただ見守る。その先にあるのは、色褪せたカーテンベッド。カーテン式なのが幸いしたようで状態は良い。 寝かされているのは銀髪の痩せ細った少女。寝息すら立てることも忘れ死んだように眠りに落ちている。 目覚めの予兆はない。その身体に管のようなものが繋がれていることから目覚める可能性は低いのかもしれない。 それでも、諦めずに彼女が看護されるのは愛されているからか…もしくは何らかの根拠はあるのかも知れない。 ただ、赤髪の女性は確信していた。彼女が目覚める時、世界は大きな転機を迎えるだろうと…
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