1.始まり

1/6
74人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ

1.始まり

    一  午後3時、ドラマの撮影が始まるため、役者やスタッフが、広間に集まってきた。 「皆さん、揃ってますか?」  田原公平が叫んだ。すると突然、CHIKAが、いきなり、大きな声を上げて、飛び出してきた。見るからに青ざめた顔をして。 「どうした、CHIKAちゃん?」 「あのう、秋江さんの姿が見えないんですけど」 「エッ、どういう事?」 「さっき散歩に出る前に、荷物を彼女に預けたんです」 「いつ?」  CHIKAは、3時間前だと行っていた。3時間前といえば、みんながこの屋敷について、自由行動を取り始めた時間だ。 「もしかしたら、帰ったのかもしれないね。田中さん、今日、体調が思わしくない、って言ってたから」 「そんなはずありません。だって、田中さんの荷物、部屋にキチンと置いてあるんですよ」
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!