1.始まり

2/6
74人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ
 それを聞いた役者、スタッフ全員が、急いで彼女の部屋に行った。案の定、荷物がそこにあって、彼女の姿は何処にもなかった。 「きっと、トイレに行ってるんですよ」  小宮英二はそういって、CHIKAをなだめた。だが、次の瞬間、川口真奈美の一言で、事態は意外な状況におかれることになる。 「そういえば私、さっきトイレに行きましたけど、誰もいませんでしたよ」 「エッ、本当?」  本当だと、川口真奈美は答えた。彼女は朝からお腹の調子が悪く、何度もトイレに行ってたらしい。 「だが、トイレは一つだとは限らんだろう」 「そういえば、二階のトイレは壊れてるって、大家さん、言ってたな」  長谷部ヒロムが、そう漏らしていた。では、田中秋江は何処に行ったんだろう。 「彼女の携帯は?」 「繋がりません」 「手分けして探すんだ」
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!