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暗く 深くーーどこまでも見透す事が叶わない漆黒の闇の中。
その中をまどろむようにして漂う。
そうしていると、様々な事が泡沫の様に浮かび上がっては薄れていった。
ーー何を躊躇う?お前はこの為に産み出さたんだ
ーーねぇねぇ、あの子マジで怖くない?噂の悪魔だったりして
ーー助けて……助けてよぉ、まだ……死にたくない!
幾度となく繰り返してきた輪廻の流れ。
その流れに身を晒していく内に身体は蝕まれ、心は凍てついていった。
しかし、と彼女は皮肉気に唇の端を吊り上げて笑う。
ただ壊れるのを待つだけの『存在』になんの意味があると言うのだろう?
何度己に問い掛けてきたかも分からないその意味をなさぬ問答。
存在の意味?そんなもの、産み出された時から決められていると言うのに。
それはーー
『ーーそれはね、きっと自分も友達も、知り合えた人と皆で幸せになるためだよ』
「ーーっ!!あっ、うぐっ……ぅ、」
彼女の声が言葉が頭を過り、まだ癒えない心の傷を激しく抉った。
頭が痛い、涙が滲む、呼吸すらままならないーー
「……ーーゆう、こ……」
彼女は息も絶え絶えに、それだけを口にする。
『教えて……幸せって、何?』
続くその問いは、言葉にすらならずに心に渦巻く闇へと飲み込まれて消えた。
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