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家に帰ると、向かいのお宅の庭には鰐が放されていた。 どうしてこんなことを、とお向かいさんに尋ねると、防犯の為なのだと笑った。 私は、ああ、そういうものなのか、と納得した。 長くそこへ留まるのも嫌なので、大学へ行くことにした。 大学へ着くと、何か大事な書類を提出しなければならないことを思い出した。そのためには、ある棟に行かなければならない。 しかし、その棟まで距離があるので非常に面倒くさい。おまけに雨まで降ってきた。持っていたビニール傘をさす。 雨に濡れたマンホールが、寒々しさをより際立たせている。吐く息は白く、鼻の先は冷たく冷えている。 もう帰ってしまいたい。 例の棟に着くと、中にいる職員は不審そうな顔をして近づいてきた。 「あの、何かようですか。」 玄関で靴を脱いでいると、声音までおそるおそる尋ねてきた。 「エ、あの、」 「ここは幼児センターですが…」 辺りを見回すと、間違いない。ここはたしかにこども達のための施設だ。カラフルなパズル式のマットが証明してくれた。 「で、なんの用なのですか…。」 私はここへ、そうだ、妹を迎えにきたのだった。 という旨を話すと、職員は先ほどの態度とうって変わって積極的になった。 「ああ、それならこちらへどうぞ!」 これもまたこども用なのか、プラスチックだか、ビニール素材でできた、静電気のよく起こりそうな素材の、クレヨンみたいな色彩の背の低い門扉を通り、階段を登って二階へ行く。 「××ちゃん、お父さま、お姉ちゃんが迎えにきましたよ。」 全く妹に似ても似つかない美少女がそこにいた。 「××ちゃん、あら、おとうさま、どこへ行くのですか…」 「帰るんだよ、目的はすんだから」 三十代くらいの男が、先ほどの美少女の手を引いて立ち上がった。この人が職員に「おとうさま」と呼ばれている人物だ。 「さあ、お前も帰るんだよ。」 と言われ、腕を捕まれた。 男は、私と美少女との間という、宇宙人確保の立ち位置でズンズンと進んでいった。
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