金星人

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とある町のショッピングモールだろうか。雰囲気は海外のようである。 壁は一面真白く、荒く塗りつけられた感じも洒落ていた。 私は犬を一匹連れていた。 犬は私よりも先だって歩き、しつけがされていないようだった。 小型犬はちょこまかと素早い足運びでズンズン先へ行ってしまう。 「待って」 綱を引いたが、そのとたんに手から抜けてしまった。青いリードは、蛇のように地面を滑っていった。 「ああ」 犬は扉を抜けてショッピングモールの外へ逃走した。 屋外のフードコートはまた洒落た雰囲気で、なんとなくイタリア的な(完全にイメージ)空気を感じる。青い布の日除けパラソルも、壁の白に映えていた。 犬を探した。 這いつくばった。 すると、突如後ろから声がした。 「あの、すみません。」 振り向くと、外国人風の背の高い男が立っていた。 「ハア…なんでしょう」 と聞くと、どうやら男は宇宙人、それも金星人で、今追われている身なのだそうだった。 「そういうわけで、どうか匿っていただけないでしょうか」 「あ、どうぞ、」 と、一緒に這いつくばらせて、テーブルとパラソルで身を隠した。 すると、頭上からまばゆい光で照らされた。 これが、宇宙船か。 胴長の、銀色の単なる飛行船のような形である。 異様だが、周りの人は全くきになっていない様子だった。 宇宙船から、ひとりの男が降りてきた。こちらは宇宙人のような風貌で、大きな目と長く白いドレッドヘアといったビジュアルだった。服装も白かった。
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