金星人

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その点はどうやら惑星のようだった。抱えた球体が、その星への到着時間を知らせる。 あと53時間かかる。 それまで暇だなと思った。時間の感覚はもうなくなっていた。 突然、ぐんと下に引っ張られた。 吸い込まれるように惑星に落ちていく。惑星は、きれいなブルーだった。 目を覚ますと、海の中のようだった。視界が青い。 呼吸に慌てたが、球体があるので、水の中でも呼吸はできた。 ゆっくりと海面に浮上をすると、イルカのようだが、イルカにしては胴体の長すぎる生き物が話しかけてきた。 「お前、落ちてきたけど平気なのか。」 「何とか大丈夫みたいだよ。喋れるんだ。」 不気味だったが、コミュニケーションをとれる生き物は、どうやらこいつしかいないようだった。辺りは限りない真っ青な海の盤だったが、私とイルカ以外、生物が見当たらない。 「お前、もう帰れないな。」 イルカが言った。 私は言葉が出なかった。 いくら見回しても、辺りは澄んだ青い青い海が広がるばかりだった。
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