小悪魔のいたずら

38/44
4772人が本棚に入れています
本棚に追加
/704ページ
……だとすると、今回の件がひと段落したら、もともとユズハはロキに告白する気でいた? 仮にそうだったとしたら、そんな相手にあんな言葉をかけてもらって。 そしてユズハほどの気持ちをあまり隠そうとも偽ろうともしない女の子ならば、それはどれほどの衝撃を伴っていたのだろうか。 嬉しい、なんてもんじゃないかもしれない。 まるで自分の世界がすべて幸せで染まったかのように、彼への愛でいっぱいになってしまうのではないだろうか。 いやまぁ、そんなものは推測の域でしかないのだけれど、何となくそれは間違っていないような気もする。 本当に彼女がそれほどまでにロキに惚れていたのならばという前提条件のもとでのみ成立する持論だが、彼女のあの行動と言動、迷いのない直球な愛情表現は、フェリスのそれによく似ている。 厳密に言えばまったくの別物なのであろうが、あの積極性は、本当に好きな相手にしか発揮されないものだと俺は思う。 うぬぼれかもしれないが、それを一番身近で感じてきた俺自身がそう感じるのだ。 まったくの不正解、ということもないだろう。 「離しなさいよ! 私の話はまだ終わってないんだからッ!」 「こら、いつまでも騒ぐんじゃない。言っただろ? 私たちは帰るんだ。彼らの動向については、また後日じっくりと聞けばいいじゃないか」 「問題はそこじゃないの! あいつら私がいる前であんな恥ずかしいことを……!」 「嫉妬なら自分の部屋でじっくりとしてくれ」 「だ、誰が嫉妬よ!」 そんな口論をしながら、先にスフィアとレイが部屋を出ていく。 それに続く形で俺やミーシャも外に出ようとしたのだが、 「シンくん」 そう部屋の奥から呼びかけられ、俺だけその足を止めた。 ミーシャたちはその間に部屋の外へ足を踏み出していき、玄関口には俺だけが取り残される。 一応イツキが気を利かせてくれたらしい。それも俺がすぐに部屋を後にする、という条件付きでだろうが。 「言った通り、元通りにはならなかったでしょ?」 「……ははっ」 俺は乾いた笑いと共に、その美しすぎる笑みからすぐに目を逸らした。 ――彼女のそのいたずらは、少々俺には刺激が強すぎたみたいだ。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/704ページ

最初のコメントを投稿しよう!