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「優美、そろそろ出る頃よ」
祖父の言葉を思い出していた優美の部屋をノックして声をかけた母<雪那>
「はい、お母様」
雪那の声に気付けば軽く返事をして、赤く薄い液体が入ったグラスを手にすればそれを飲み干し
朝に準備したカバンを手に自分の部屋を出た。
「じゃ行ってきます
時間があれば、ここに顔を出しに来ますね」
黒く光る靴を履いて見送る母にそう言いながら視線をむければ、懐かしそうに私を見つめていた。
「優美も人間に混じって生活する年になったのね
何千年か前のお母様もそうゆうのがあったわ」
懐かしそうに笑みを浮かべるお母様
言葉に、少しだけ眉が垂れた。
「……行ってきます」
数日振りの日が高い時間の外出は、目が焼けそうな位に眩しかった。
(何千年も前…)
お母様の言葉が頭から離れずに気分が沈んだまま、私はこれから三年間を過ごす学園へとは別の道にへと足を進めた。
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