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洗面台に着いた俺は、コップから歯ブラシを取り歯を磨く。
鏡に写る無表情の俺にいらつきながら口に入った水を吐き出した。
何時もと変わらない日常。
これで良い。
俺の望んだ日常なんだ。
なのに、毎日が苦しい。
でも、それは当然なんだと思う、俺は加害者で、偽善者なんだから。
「早くしてくれませんか?」
ふと、後ろから誰かに話し掛けられた。
誰かというか。良く知る奴の声だったりする。
鏡で普通に姿が確認できるし。
俺は内心で溜息を吐きながら、笑顔を作り声が聞こえた方へ振り向く。
「やぁ、妹ちゃん。おはよう。ちょっと歯を磨いててね。後ちょっと待ってくれるかい?」
「その笑顔を私に見せないでください。不快です。兄さんは格好良いのに、何故お兄さんはそんなに私を不快にさせるんですか?」
「そりゃあ、俺がお前のことを嫌っているからじゃないか? その逆か?」
俺は青色のタオルで顔を拭き、口調を素に戻した後、その場から逃げる様に離れた。
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