1人が本棚に入れています
本棚に追加
それから自室に戻り、制服に着替えて家を出る。
普段と変わりない行動だ。
が。
「お待ちしておりました。司様」
こいつの所為でおかげで、俺の日常はいとも簡単に崩れ去る。
こいつ、たしかリリアの側近か?
俺は内心で首を傾げ、側近らしき女性に問い掛ける。
「そうだけど、俺になんの様?」
「あら? 普段の優しい口調ではないのですね」
「だってあんたリリア、陛下の側近だろ? なら隠してたって意味がないだろ」
俺は溜息を一つ吐き出す。
側近である女性は俺の言葉を聞いた瞬間、なにが面白いのかケラケラと笑いだした。
「す、すいません。あまりにも陛下と……はぁはぁ。ひひ。ふひひ」
「だ、大丈夫か?」
俯きながら息を荒くする全身真っ黒な女性。
それを心配する学生。つか俺。
すれ違い様にちらりと俺達を一瞥し、不思議な表情になる通行人。
俺達は通学路でなにをしているんだろうか。
俺は内心で再度溜息を吐いた。
最初のコメントを投稿しよう!