Ⅰ@偽りの力

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それから自室に戻り、制服に着替えて家を出る。 普段と変わりない行動だ。 が。 「お待ちしておりました。司様」 こいつの所為でおかげで、俺の日常はいとも簡単に崩れ去る。 こいつ、たしかリリアの側近か? 俺は内心で首を傾げ、側近らしき女性に問い掛ける。 「そうだけど、俺になんの様?」 「あら? 普段の優しい口調ではないのですね」 「だってあんたリリア、陛下の側近だろ? なら隠してたって意味がないだろ」 俺は溜息を一つ吐き出す。 側近である女性は俺の言葉を聞いた瞬間、なにが面白いのかケラケラと笑いだした。 「す、すいません。あまりにも陛下と……はぁはぁ。ひひ。ふひひ」 「だ、大丈夫か?」 俯きながら息を荒くする全身真っ黒な女性。 それを心配する学生。つか俺。 すれ違い様にちらりと俺達を一瞥し、不思議な表情になる通行人。 俺達は通学路でなにをしているんだろうか。 俺は内心で再度溜息を吐いた。
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