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側近である女性は深呼吸した後、目尻溜まった涙をハンカチで拭う。
「失礼失礼。とりあえず用件を話しますね?」
「此処で?」
「はい。それでは私の思い、受け取ってください」
女性は頬を赤らめながら何処からか取り出した小さな紙袋を俺に差し出した。
俺は猜疑心になりながらもそれを受け取る。
多少の重みが手の平に伝わるが、これがなんなのかは俺にはわからない。
「これなん……だよ?」
視線を女性の方に戻すが、そこに女性は立っておらず。
「なにをしているの? お兄さん?」
眉間に皺を寄せた幼なじみ二人と無表情の妹が代わりに立っていた。
「………お、思いを受け取っていたんだ」
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