浜口陽子の場合

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「大変だね!」 ふと肩を叩かれた。 「正和さん!」 陽子が笑顔になる。 「大丈夫かい?」 「ええ、なんとか。」 笑って答える。 「手伝ってあげたいところなんだけど、今夜はこれから大事な接待なんだ。」 正和が申し訳なさそうな顔で言うと 「大丈夫ですよ。あまり飲み過ぎないようにね!」 「ああ、ありがとう。」 そう言って出ていこうとした正和だったが、思い出したように振り返り 「そうそう、明日のデートなんだけど・・・。」 「どうしたの?」 「ごめん。急な接待ゴルフが入っちゃって朝から行かなきゃなんだ。」 陽子は少しガッカリしたような表情になったが 「仕方ないわね。また今度にしましょう。」 「悪いね!」 手を合わせて詫びる仕草をしながら正和は部屋を出ていった。 それを見送りながら陽子はため息をついた。 今の陽子にとって正和と一緒に過ごす時間は唯一の息抜きだった。 「よし。」 気持ちを切り替えて書類に向かった。
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