告白

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 綿の様なぼたん雪が降りしきる中、僕は灰色のシャッターに背中を預けて立っている。 景色の色も灰色 辺りに漂う空気の色も灰色 そして 僕の羽織っている上着の色も灰色。 その上着のポケットに両手を突っ込んで、首はすぼめて、衣服と肌の間になるべく隙間が生じないようにしながら、僕はじっとしている。 けっして、この灰色の景色に擬態(ぎたい)しようとしている訳ではない。 そういう趣味も素敵だなと思ったけれど、そうではない。 僕は、人を待っている。 その人を待つ為の一番落ち着ける姿勢を模索(もさく)した末、ここに落ち着いたのだ。 右ポケットに入れている物の感触を確かめる。 輪郭をなぞって、右手で包み込む。 今日こそはこれを、「彼女」に届けるのだ。  鎖骨の間、その少し下の辺りがきゅうきゅうと締め付けられるような感覚。彼女のことを思うと、いつもこうなる。 少し苦しい。  この感覚が最初何なのかわからなくて、友人に尋ねたことがあった。 すると友人は、この感覚を「恋」だと言った。 僕が彼女に「恋」をしているのだと。 今一つ腑(ふ)に落ちなかったけれど、僕自身、他に適切な表現を見つけられなかったので、とりあえずこの感覚を「恋」と名付けることにした。 「恋」は日ごとに大きさを増していった。 そして、いよいよ「恋」を内に秘めたままではいられなくなり、僕は今日ここに来たのだ。 彼女に知ってもらいたい。 「恋」は、僕を行動させる。 右ポケットの中の手が、いつの間にかじっとりと汗をかいていた。 「恋」は、僕を緊張させる。
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