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洋介は駅前のクリスマスツリーの光に目を細めながら、
「それだけ彼女の事が好きなんだろうな。」
と感慨深げに言った。
「洋介さんは、」
「ん?」
「鳥海さんの事は良く分かってるんですね。」
「前に飲んだ時結構グチってたし、まぁ、付き合いも長いしね。」
「怪しいって噂されてましたものね。」
雪乃がクスクス笑う。
「雪乃っ。」
「ふふ。仲が良くて羨ましいなって、私もずっと思ってたから。」
えっと言う顔をした洋介も恥ずかしそうに呟いた。
「俺も…羨ましかったよ、雪乃と仲のいい鳥海が。」
やはり自分たちにとって鳥海は特別な存在なんだと改めて思いながらふたりは微笑んだ。
「鳥海と河野さん、上手くいくといいな。」
「はい。」
ふと駅の時計を見上げた洋介が慌てた声をあげた。
「急ごう、雪乃。予約の時間になる。」
「えっ はい。」
ポケットから手を出した洋介と雪乃は手をつなぎ直すと、足早に駅ビルの中に入っていった。
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