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「…雪乃」
名前を呼ぶいつもより艶めいた声と、長い指が柔らかな髪をゆっくり梳いていく心地よさに、雪乃は小さな吐息を漏らした。
そんな雪乃の顔を上から覗き込み洋介が微笑む。
「雪乃も欲しい?花束」
洋介の手が頬を包み、指先で優しくなぞる。
「ん…、貰えたら、嬉しいけど。…洋介さん?」
「何?」
瞼に触れる唇。
「…お花、買うの、恥ずかしいでしょう?」
「平気だよ、雪乃が喜んでくれるなら…」
「…やっぱり甘い」
「え、何?」
「私といる時の洋介さん、甘すぎるって、まゆちゃんが…っ」
少し体の位置をずらすように動いた洋介が、雪乃の耳元で囁く。
「そう思う?」
自分だけが聞ける声に雪乃が頷くと、
首筋を滑っていく唇が呟いた。
「雪乃の方がもっと甘い…」
おわり
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