あなたのために

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「鳥海さん、何て?」 「終わったかって。7時に終わるって言ったら、すぐ戻るからここにいて、だそうです。」 「良かったね?心配いらないと思うよ。」 「はい。」 笑顔で答えたまゆは手元の来客名簿をトントンと整え、カウンターの上を片付け始めた。 それを眺める雪乃に声がかかる。 「雪乃。」 「あ、終わりましたか?」 「ああ。ごめん、思ったより時間かかって。」 洋介が雪乃からコートを受け取り袖を通す。 「お疲れ様です。」 「河野さんもお疲れ様。鳥海は?」 「あ、はい。そろそろ来ると思います。」 「そうか。じゃ、お先に失礼するよ。…雪乃。」 「はい。まゆちゃん、お先にゴメンね?」 「いいえ、楽しんできてくださいね。」 まゆに送り出された二人が玄関に向かって行くと、少し先を歩く洋介が急に足を止めたので雪乃がその背中にぶつかりそうになる。 「きゃっ。…洋介さん、どうし…、あ。」 洋介の視線を追いかけた雪乃の目が驚いて見開かれた。 ・
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