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「ちょっと、トイレ行ってくるね」
私は自分の未練がましいところに呆れながら、少し頭を冷やすためにトイレに行った。
――――――
「千鶴、ごめん。他にすきな子ができたんだ」
とても楽しかったクリスマスイブのデートが終わった後。
彼は申し訳なさそうに言った。
「クリスマスをすごく千鶴が楽しみにしていたから、言い出せなくてさ」
頭が真っ白で、何も言えなかった。
「千鶴が悪いんじゃない。俺が、悪いんだ」
違う、私が間宮くんの心を掴んでおけば……。
涙が止まらない。
「ごめん、千鶴……」
私が悲しい時は優しく抱いてくれて、頭を撫でてくれるのに。
間宮くんは俯いたまま、何もしてくれなかった。
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