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――――――
1年経って、彼の隣には、かわいい女の子がいる。
私に向けられていた笑顔も、やさしい言葉も、全てあの子のもの。
トイレから出て、階段を上る時に声がした。
「ああ、今大盛り上がりだよ。すげえ楽しい」
間宮くんの声だった。
どうやら携帯電話で話しているらしい。
クラスでいる時とは違うやわらかい笑顔に、私の胸をズキッとした。
「大丈夫だよ。千鶴とはもうそんな関係じゃない。ただのクラスメイトだよ。今日も離れた席に座っているし」
ただのクラスメイト、という言葉にグサリときた。
ああ、痛い。
涙が、止まらない。
私はまだこんなに間宮くんのことがすきだというのに。
私は悲しくて、悲しくて。
間宮くんがいる……皆がいる部屋に戻ることができず、一気に階段をおりて外へと飛び出た。
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