304人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあな、早瀬」
いつもは表情を崩さない藤堂くんが、微笑しながら去っていった。
「平気?間宮となんかあったのかと思って」
姿を消していた私を心配してくれた友達が、カラオケ屋さんの入り口で待っていた。
友達は心配だったのか、ぎゅっと私を抱きしめてきた。
「うん、今は大丈夫。ごめんね、心配させちゃって」
私もぎゅっと抱きしめ返した。
「……千鶴……藤堂となんかあった?」
「え……、なんで?」
「いつも仏頂面なアイツがあんな顔していたら、誰だってそう聞くって!」
興味津々な彼女に、私は一生懸命はぐらかした。
「あー、千鶴。なんかあったでしょう。頬が赤いよ?」
……言えない。
『すきだ、早瀬。クリスマスイブ、二人で会おう』
と、藤堂くんに言われたなんて。
.
最初のコメントを投稿しよう!