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藤堂くんはその後何も言わず、私の隣を歩く。
社会科研究室に着くと彼はノートを片手で持ち、ドアをガラガラッと開ける。
「2年4組の課題です」
「おー、ご苦労さん」
中年の日本史の先生――加藤先生はどっしり椅子に座りながら、机をバンバン叩く。
どうやら、ここまで運べと言うことだろう。
「藤堂も早瀬もいつも悪いなあ。俺が課題をたくさん出すばかりに」
ガハハハ、と笑う先生に、私は苦笑い。
藤堂くんは真面目な顔で、「いえ、仕事ですから」と言った。
社会科研究室を出て、私達は放課後の廊下を二人で歩く。
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