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社会科見学は1月だからクイーンズスクエアのクリスマスツリーは終わっているよね、と付け足しながら、余っている画鋲でプリントを刺す。
「早瀬、少し曲がっている」
「あ、ごめんね」
藤堂くんは横から手を伸ばし、曲がっているところを直す。
「ありがとう」
「……ああ」
藤堂くんは黒縁の眼鏡をかけ直した後、横に曲がって貼ってあるプリントも綺麗に直した。
「藤堂くん、これ行くの?」
曲がっていたプリントは、終業式後にクラスでやるクリスマスパーティのチラシ。
大人数のカラオケルームを借りてやるみたいで、参加者のところにはたくさんの名前が記載されている。
きっと、真面目な藤堂くんは行かないとは思うけれど。
「早瀬は?」
「行くよ。ほら、名前書いてあるでしょ?」
「本当だ」
藤堂くんの指先がツツツ、と「間宮」、という文字の三つ下まで降りる。
私は「間宮」という文字を見るだけでドキッとしてしまい、会話を続けることができない。
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