* 02 夢遊の病

8/9
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
ヴァン 「────……」 (困惑) リヒュタルト 「黒猫が……横切った……!」 ヴァン 「!…………リヒュタルト、行くぞ。俺はお前も黒猫も止めてみせる。」 リヒュタルト 「…………ふぅ。言ってろよ、バカ。」 ヴァン 「治まったなら行くぞ。」 ────────…… クロッティ 「アーニャ様。何故、勝手に出られたのです。」 アーニャ 「………………………………お兄様を……助けたかったから。」 クロッティ 「ですから──」 アーニャ 「クロッティ……。アーニャ、解ってるよ……。」 クロッティ 「アーニャ様?」 アーニャ 「でも……ダメ、なの。我慢、出来ないよ……」 クロッティ 「……。アーニャ様。私は、アーニャ様の命を長くしたいのです。」 アーニャ 「え?」 クロッティ 「私も、アーニャ様のように病が酷かったんですよ。長く生きられないと言われてきました。」 アーニャ 「クロッティが……?」 クロッティ 「憐れみも同情もいらなかった……私は、見放されることが何より怖かった。どうせ、死ぬのだからと────いなかったことにされるのが怖かった。薬も、手に入らない。貧乏でしたから……私、耐えられなくなってある日、村から離れた場所で生きたい、と叫びました。」 「その時、黒猫が現れました。」 アーニャ 「黒猫?」
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!