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孤独になったエトロは、自らの姿に似た母のことを思いました。
エトロは、自らを傷つけて血を流し、消えてしまいました。
流れたエトロの血から、人間が生まれました。
人間は、生まれては、死ぬだけの存在でした。
目に見える可視世界の存在が滅びるのは、呪いではなく運命でした。
世界の総和は定められていて、可視と不可視の世界が分け合っています。
その均衡が崩れれば、やがて、世界は崩壊してしまいます。
ブーニベルゼの母ムインには、運命(さだめ)を止める手だてがありませんでした。
彼女は不可視世界の混沌に飲み込まれようとしていたのです。
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