入門魔術教本

“魔術の認識と注意点”

西洋魔術において、それを扱う術は何か？

呪文？いえ違います、魔術を作用させるのに必要な土台は貴方自身の意志にあります。

最初に断っておきますが、魔術師の道を歩んでも、全てが思い通りに行く筈もありません、漫画じゃあるまいし、確実に効果を発揮するなど有り得ないからです、寧ろ不安定でちょっとした失敗や知識不足により、予想外のトラブルになります。

現実に何らかの形で“都合の良い幸運”を招こうと言うならば、難度はかなり高くなります、こう言うのは“魔術的偶然”と呼称しますが、ことさら金運、 愛、肉体的健康…について向上、改善を目的とするならば、自らの力で得るよう努力するのが、最も…より確実に近い手段でしょう。

お金が欲しいなら仕事をして稼ぐ、愛が欲しいなら自ら異性に告白する勇気を出す、肉体的な疾患、病気は魔術に頼るより、医学や薬を頼る方が遥かに治療として有力です。

こう言っては魔術に何の意味も無さそうと思われるでしょうが、その対象が現実的な面で効果を求めるからに他なりません。

魔術は大きく二つに分けられています。

一つは『低次魔術』と呼ばれる、現実的な欲望を満たそうとする魔術です、これは一般的に言う『おまじない』も範疇に入るもので、魔術本来の道とは逸れた部分が多々あります。

ただし、簡易で初歩的かつ、初心者には扱いやすく、理解しやすい利点があります、でも失敗も多いです、現世利益が目的なので…。

魔術による現世利益を求める人の大半はこの『低次魔術』を学ぼうとするでしょうが、その代償も覚悟しなくてはなりません。

例えば好きな異性の気を惹きたい、しかし相手にはパートナーとなる人が居る、…これでは自分と結ばれる事は難しい。

ならば『低次魔術』の系統に入る『性愛魔術』によって、カップルの仲を引き裂き、自分へ好意を向けさせるようにした…としましょう。

これに成功すれば、貴方の好きな異性は貴方に好意を向け、交際中のパートナーとの関係は悪化したり、冷め切って別れる事になります。

しかし成功の代償は決して低くありません、このパターンであり得るのは『未来のパートナーとなる人との、縁を自ら断つ』…です。

つまり、気を惹いた相手が貴方と結ばれる事によって、貴方と本来結ばれるパートナーとの縁が切れてしまう…と言う事です。