栗毛の獣

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不本意だ、と不機嫌そうに言いつつも狸を退けようとしないアインスに、レオンハルトは苦笑した。 なんだかんだ言いつつも、もう情がわいているんじゃないのか? レオンハルトはそう思わざるをえなかった。 「なんなら飼えばいいじゃないか。別に俺はペット持ち込みは禁止していない」 「断る。何故俺がコイツの世話を焼かなければならない」 「ならどうするんだ。置いて来てもついて来るんだろう?」 「放っておけばここの生徒が世話をするさ。俺はどうともしない」 なんとも無責任な発言が返って来た。 しかし、アインスが言う事も一理ある。学園の生徒はこういったものに目がないのだ。 以前も迷い込んで来た猫を学年単位で育てていた気がする。 その日から、この狸はアインスの後ろをよく付いて回るようになった。 もちろんそれは生徒や教師の目に留まるが、アインスに余計な事を言って良い事があったためしがない。 狸が一匹で行動しているときは、小動物に目がない生徒達が世話をしているようだが、滅多なものは食べさせられないと、その辺のペットよりも良い餌を与えているようだ。 この狸はどこから来たのか、何故アインスに懐いているのか、非常に気になるのだが相手が相手なので尋ねられない。 結果的に、また彼らの冷や汗の対象が増えてしまったのだった。 .
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