571人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ
不本意だ、と不機嫌そうに言いつつも狸を退けようとしないアインスに、レオンハルトは苦笑した。
なんだかんだ言いつつも、もう情がわいているんじゃないのか?
レオンハルトはそう思わざるをえなかった。
「なんなら飼えばいいじゃないか。別に俺はペット持ち込みは禁止していない」
「断る。何故俺がコイツの世話を焼かなければならない」
「ならどうするんだ。置いて来てもついて来るんだろう?」
「放っておけばここの生徒が世話をするさ。俺はどうともしない」
なんとも無責任な発言が返って来た。
しかし、アインスが言う事も一理ある。学園の生徒はこういったものに目がないのだ。
以前も迷い込んで来た猫を学年単位で育てていた気がする。
その日から、この狸はアインスの後ろをよく付いて回るようになった。
もちろんそれは生徒や教師の目に留まるが、アインスに余計な事を言って良い事があったためしがない。
狸が一匹で行動しているときは、小動物に目がない生徒達が世話をしているようだが、滅多なものは食べさせられないと、その辺のペットよりも良い餌を与えているようだ。
この狸はどこから来たのか、何故アインスに懐いているのか、非常に気になるのだが相手が相手なので尋ねられない。
結果的に、また彼らの冷や汗の対象が増えてしまったのだった。
.
最初のコメントを投稿しよう!