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「唯のこと、渡したくない」
「え?」
背中に回された腕に力がこもる。
「唯のこと、誰にも渡したくないのに。
自分のものにするのも、怖いんだ」
「……」
「唯が、いつか離れてく気がするから。
でも、今のままならずっとそばにいられる。友だちとして、幼なじみとして」
楓の腕が震えてる。
…なんとなく。わかった気がした。
きっと、離婚した自分の両親のことを言ってるんだ。
愛とか、形のないものはいつか消えてなくなる。
とても曖昧で、儚いものだって。
俺はそんなの、信じられないって。
いつだったか、楓が言ってたな。
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