episode1

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「唯のこと、渡したくない」 「え?」 背中に回された腕に力がこもる。 「唯のこと、誰にも渡したくないのに。 自分のものにするのも、怖いんだ」 「……」 「唯が、いつか離れてく気がするから。 でも、今のままならずっとそばにいられる。友だちとして、幼なじみとして」 楓の腕が震えてる。 …なんとなく。わかった気がした。 きっと、離婚した自分の両親のことを言ってるんだ。 愛とか、形のないものはいつか消えてなくなる。 とても曖昧で、儚いものだって。 俺はそんなの、信じられないって。 いつだったか、楓が言ってたな。
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