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「ねぇ、君は何を願うの?」
「ぼ、僕?」
優しく問い掛ける妖精――大人の人差し指くらいの大きさ、背中に着いた昆虫のような羽で空に浮かぶ人型のことをほかにどう表現するのだ、が現れたのは幼い僕にとって大事な時期だった。
正確には幼い僕、ではなく僕の両親にとってだが。
礼儀や勉強に異常にうるさい母と、まるでお金が恋人とでも言うかのような父を持った幼い僕。
いわゆる英才教育を受け、日本で最も賢いとされる幼稚園に合格。
両親はそれをいいことに次は世界で一番賢い小学校への受験を決意。
現実、その受験が迫りつつまる。
両親は日に日に厳しくなる。
家庭教師は常に僕に着き、一日のほとんどを勉強に費やした。
僕はそんな毎日が嫌だった。
本当は窓の外で駆け回る他の子たちと一緒に遊びたかった。
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