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「どんな願いでも、いくつでも叶えてあげるよ。
……君が死ぬまでは、ね」
可愛らしい顔の妖精はスカートのフリルを揺らす。
「死……」
その時の僕は両親の圧力が恐ろしく、そういったニュースを見るたびに自殺という選択肢が大きくなっていた。
それは普通、子どもの考えないはずのこと。
けれども、死ぬのは怖かった。
僕は普通の子どもではなかったけど、普通の人間だった。
「もし死にたいって言うのなら、苦しまないように殺してあげる。
きちんと天国にも連れて行ってあげるよ」
妖精は天使の笑みをうかべ、悪魔の言葉を囁いた。
天国……。
それは、魅力的だと思った。
けれども僕には夢があった。
普通の六歳らしい夢かどうかはわからないけど、確かにどうしても叶えたい夢だった。
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