第3章 再会?or初対面?勇者は困り果てます

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「俺だったら知ってるやつでもすぐに出ていけって言うぜ?自分の結婚式を邪魔されたら普通、怒るのが当たり前だ。そこの花婿みたいにな、だがあんたは怒りもしなかった」 言葉が出る出ない以前の問題だった。頭の中は真っ白になり、舌が乾き、何より言葉が思い付かない。 レイナは言い返すことが出来なかった。 そして和成の次の言葉がレイナの心を槍で射ぬく。 「あんた、まるでこの結婚式を滅茶苦茶にしてほしいみたいな目してたぞ。そして、あんたの心の中にはあの花婿じゃない誰かがいる」 「…………ッ……!!」 「誰かって誰だよ、和成」 「知らねぇよ。この人、心を閉じてるからそこまでわからねぇ。お前も視ればわかるはずだろ」 「俺のはお前のには劣るんだよ」 レイナは下を向いた。今、自分がどんな表情をしているかわからない。 ドッと自分の何かが崩れてくるのがわかった。恐い。いやだ。崩れる。それ以上は止めて。止めて!止めて!! レイナは耳を手で塞いだ。これ以上彼らの言葉が入ってこないように。 紀人がいなくなって今まで築いてきた偽の感情が崩れないため。 不安になる。 これ以上は限界。 彼が近くにいるだけで。 簡単に私が崩れてしまう。 でも『その』私は偽の感情で。 誰にも悟られないように作り出したもの。 今の私は時間をかけて真を嘘で覆った私。 そんな私を簡単に崩してしまう彼が怖かった。
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