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少女グレイシーは暗黒に染まる空の下、森に薬となる薬草を探しに来ていた。
「ここにはミール草がないなぁ。もうちょっと奥の方に行ってみよ」
グレイシーは薬草を求め、さらに奥に進む。
「……あっ」
グレイシーは慌てて手で口を塞ぎ、木の後ろに身を隠すのだった。
その理由はグレイシーの視線の先にいる人と同じ知能・欲・言葉を持つようになったゴブリンたちの偵察隊がいたからだ。
今では勝手に薬草を森に採ることは禁じられ、もし偵察隊に見つかれば罰を課せられる。
グレイシーはゴブリンたちに見つからないように、目の前のゴブリンたちを見ながらゆっくりと後退りし、逃げようとしたときだった。後ろから両肩を掴まれ、振り向くとそこには偵察隊のゴブリンがいた。
「お前、ここで何をしている」
グレイシーは恐怖で声を出すことが出来ず、そのままゴブリンが何体もいるところへと連れていかれる。
「おい、どうしたんだその小娘は」
「さっきそこで見つけた。この格好からいくと薬草を採りに来たな」
「なるほどぉ、それは悪いことだ」
一体のゴブリンはニヤニヤとしながらそう言うとグレイシーに近づき、指で頬を撫でる。
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