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「ではこの森から出ましょう。私の家は森を出てすぐの村にありますから」
グレイシーはそう言って来た道を戻るように歩きだし、紀人たちもそれについていく。
「そうだ、自己紹介がまだでしたね。私はグレイシー・イルーシと言います」
「俺は永板紀人だ。紀人でいいぞ」
「俺は和成だ」
「俺は圭介。よろしく」
「えっと、ノリトさんにカズナリさん。それにケイスケさんですね。わかりました」
グレイシーは顔と名前を照らし合わせながら覚える。
紀人は昼間なのに不気味なほど赤い空を見上げグレイシーに訊ねた。
「なぁ、どうして空があんなになっているんだ?」
「本当に何もご存知ではないんですね。あの空は今からだいたい2年くらい前に大皇帝ヴァンリーが現れて、世界を支配するようになったときぐらいから、ああなり始めたんです」
「ふーん、なるほど。大皇帝ヴァンリー、ね」
「あっ、そろそろ森の出口ですよ」
グレイシーが言う通り、指差す方向には木々が途切れており森の出口があった。
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