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森を抜けるとそこは森の中からよく確認することが出来なかったことがいろいろとあった。
「あっ、村まではまだあるので来てください」
そう言い先頭を歩くグレイシーに無言で紀人たちはついていく。
森の出口から少し歩いたところに家々が建つ村が見えてきた。
当然周りには田畑が広がっている。
しかし、それは豊作とも言えずただただ草などが生え、何の手入れもされていなかった。
紀人たちはその光景を眺めることしか出来なかった。
「はい、着きました。ここが私が生まれ育ったリーガロ村です」
紀人たちは目を疑った。
紀人たち3人の目の前に広がる光景があまりにも悲惨なものだったからだ。
どこの家もボロボロで道には今にも飢え死にしそうな人たちが何人もいる。
まるで人々は生きる希望を無くした生きる屍のように見えるのも仕方がない状況だった。
そこでふとグレイシーを呼ぶ声が聞こえる。
「グレイシー、グレイシー!」
グレイシーは自らの名を呼ぶ人物を見るとパァっと顔を明るくし抱きついた。
「まったく、あなたって子はどこに行ってたの?帰りが遅くて心配したのよ」
女性は抱きついてきたグレイシーを優しく受け止め、頭を撫でる。
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