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部屋に入るなり少女は真っ先に扉を閉め、隠れる場所を探し辺りを見回す。
室内には木製の机や椅子が所狭しと並んでおり、更には黒板。
それらから類推するに、おそらく場所は学校なのだろう。
どうやら隠れる場所を見つけたらしい。
少女は急ぎ足で部屋の一番左奥に位置する机に向かうと、そこに身を屈め、息を潜ませた。
耳を澄ませれば、ベタッベタッと言う足音がこの教室の前を行ったり来たりしているのが分かる。
恐怖でガタガタと震える体を押さえるように、ギュっと制服のスカートを握る少女。
その瞳に涙を浮かべながらも必死に「来るな… 来るな…」と強く念じるも虚しく、教室の扉は、ガラガラと音をたてて、無情にも開かれてしまった。
ゆっくりと少女が居る机に近寄る足音。
その足音が突然、加速する。
ベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタ
「ミツケタァ」
「ひっ…!」
声だけを聞けば普通の女の子と何ら変わりない"それ"の、深淵のような黒い眼に見つめられ、少女の口から思わず小さな悲鳴が漏れた。
バランスを崩し床に尻餅をつく少女。
逃げなければならない。
頭ではそう理解していても、恐怖がそれを許さない。
刹那――そんな事などお構い無しと言わんばかりに、女の子の小さな腕が、少女の瞳に伸ばされる。
「眼ェ チョウダイ」
「嫌… 嫌っ… 嫌ぁぁぁぁぁあああーーーッ…!」
ジュプ グチュ グチャ
「あっ… がっ…」
そこで少女は事切れた。
そのポッカリと空いた二つの穴から、深紅の液体を溢しながら……
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