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森崎さんが死んだ。
今朝、私達の学校に、そんな悲惨なニュースが舞い込んだ。
森崎さんの死体は、何処かの山中で見つかったらしく、
死因は両の眼を抉り取られたことによるショック死という、なんとも気味の悪いもの。
警察は最近多発している連続怪死事件の線で捜査を進めていくようだ。
その話を聞いた時、私の頬からは一筋の涙が流れていた。
森崎 美紅【もりさき みく】先輩。
私の憧れの先輩。
気立てが良く、礼儀正しい女性だった先輩は、人望も厚く、この学校の生徒会長を勤めていた。
そんな先輩が殺害されたなんて、私にはどうしても信じる事が出来ない。
この話にはもっと裏がある気がして…
「ちょっと、聞いてる渚?」
私の考えを遮る様にして、向かいの席に座る美里が口を開いた。
――忘れてた、今は美里と食事中だったっけ。
楠木 美里【くすのき みり】。
明るく優しい反面、大のオカルト好きという一風変わった趣味を持つ彼女は、私の中学時代からの大親友だ。
「ごめん、聞いてなかった。 なんだっけ?」
「だからさ、新しい心霊スポットを見つけたんだって…!」
美里がその長い睫毛に縁取られた綺麗な瞳を爛々と輝かせながら、身を乗り出してきた。
手をついた衝撃でガタガタと揺れる、向かい合わせにされた机。
――また、始まった。
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