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清廉だったその身が罪に染まり。両手は血に塗れても尚、護りたいのは大切な、愛する家族の、かけがえのない命だったのだ。
だがしかし、その家族とも、もう何年も逢わせてもらっておらず、生死すら分かっていない。
幻を護ろうと、一人足掻いているのではないか……そう考えが過る時、スコールが必ず思い出す顔がある。
彼もスコールと並び、サウスパレス王国を担っていくと噂されていた、次期副騎士団長の期待も高い存在だった。
短く纏めた黒髪に黒い瞳、そして漆黒のマントを纏う彼の名は、カイル=グランデと言った。
彼は誰よりスコールを慕っていて、時に兄のように、或いは父のように想ってくれていた筈だ。
――それなのに。
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