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私は彼・・・黒崎くんの後を追いかけるためにベッドから素早く降りて、保健室を後にした。
私はその場をキョロキョロと見回すと彼の特徴的なツンツンの黒髪を見つけた。
「く、くく黒崎くん!」
「ん・・・?何だ?えっ・・・と、篠崎」
黒崎くんはこちらを向いて次の私の言葉を待っている。
「えっと・・・その転校したてでよく職員室の場所とかよくわからないから、教えてくれないかな・・・?」
黒崎くんにそう言うとゆっくりと手を挙げて、ガシガシと頭を掻く。
ただそれだけの動作に私はビクッと肩を震わせてしまう、やっぱり昨日の衝撃的な出会いが私に恐怖心を植えつけてるようだ。
黒崎くんは困ったように苦笑いを浮かべながら口を開いた。
「職員室ってここなんだけど・・・」
そう言って黒崎くんは保健室の向かい側を指差した。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
自信満々の一発ギャグが滑った時のような沈黙がこの場で流れる。
今すぐにでもここを逃げ出したい衝動に駆られるが、足が硬直して動かない。
そんな私に黒崎くんはその場で踵を返してこう言う。
「まあ・・・誰にでもあるよ、そういうミスは」
私はガクッと膝から崩れ落ちた。
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