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少年は少女に背を向けたまま右腕の掌を男性に向けた状態で伸ばしている。
その掌には先ほど放たれたショットガンの弾が少年の掌で止まっていた。
少女は声も涙も出ず、膝から力が抜け、ガクリと膝を折り、その場に崩れ落ちた。
その少年は少女を一瞥すると口を開いた。
「気は向かないけど、これも任務だ。悪く思うなよ・・・」
その少年の伸ばしていた右手からは細くしなやかで真っ黒な剣が現れた。
その剣を握ると少年は地面を強く蹴り、男性たちに素早く近づいたと思えば・・・
少女が瞬きした瞬間には既に数名いた男性は全員が胴体を切り離されていた。
少女は未だに目の前の状況が理解できない。
その少年は返り血を浴びた制服のまま近づき、少女の目元を手で隠し、ポツリと呟いた。
「運が良かったな」
そこで少女の意識は世界から切り離された。
この時のことを少女は今になってこう思う。
世界にバタフライ効果という現象があるというのなら・・・
これはとても受け入れがたい結果だった。
この時は・・・
この瞬間は・・・
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